Lesson05-1 薬膳の基本 四気

基礎知識として「薬膳=食薬を用いた料理」ということを学びましたが、ここからはさらに詳しく学んで行きましょう。

四気とは

前のページで漢方の種類について紹介してきましたが、度々食材の性質について紹介させていただきました。その性質のことを『食性』といい、4つある『』『』『』『』の総称を『四気』と呼びます。

四気

ちなみに『温』『熱』は陽に属していて機能の活性化を、『寒』『涼』は陰に属して沈静化の効果を持っています。つまり二極化する陰陽論を少し細かくしたものが四気となります。

四気は四季にも関係してきて、気温が暖かくなって陽に当たる春から夏にかけては『寒』『涼』の食材が実り、逆に寒くなってくる秋から冬にかけては『温』『熱』の食材が旬となる物が多いです。周りの気温に対応して自ら熱を下げたり保ったりする性質が食材となっても現れるのです。

さらに、地域的な特色から見ても四気は関わってきます。寒い北海道では熱性を持っている羊を主役とした料理、ジンギスカンが有名で、年中暖かい気候が続く沖縄では寒涼性を持っているゴーヤーや豆腐を用いてゴーヤーチャンプルーを作ったりします。こういった地域の特色に合わせて作られた郷土料理も、地元の人の体を気遣って編み出されたと考えれば薬膳料理の一つとも考えられます。

ちなみにこの4つに特徴が当てはまらない物を『』と称します。そして四気とこの『平』を合わせたものが『五性』です。

体に与える影響

四気の特性は体に入れてからも発揮されます。『温』『熱』の性質を持っていれば体を温めてくれますし、『寒』『涼』の性質を持っていれば体の熱を冷ましてくれます。なので寒気や下痢、舌にできるコケが白い場合は『温』『熱』の性質の食材を、ほてりや便秘、舌のコケが黄色い方は『寒』『涼』の食材を取ると体を正常へと導いてくれます。

だからといって『温』『熱』の食材だけ、『寒』『涼』の食材だけで調理するのは過剰摂取になってしまう可能性もあります。なのでバランスを考えて調理する必要が出てくるのです。

そしてそのバランスを取ることが薬膳の大切な部分となります。

前のページでも説明しましたが、薬膳は言ってみれば食べる人のためだけに作られるオーダーメイドの薬なのです。食べる人の体を気遣い、治療が必要な箇所にのみ効果を与えながらも他の臓器に余計な刺激を与えないことが理想系であり、やり方しだいでは可能なのです。

それと上記で少し説明した『平』についてですが、これは四気のような性能を持っていないのでどの食材と組み合わせても体に大きく影響しません。なので『温』『熱』『寒』『涼』のどれかに特化させようとしても『平』ならどこに入っても邪魔をしないので料理の幅が広がります。