Lesson07-2 薬膳料理の知識 前菜・主菜

前のページで薬膳料理の調理法や献立について説明しました。ですがあれは一纏めにしたメニューなので、順番については何も教えていません。

最近よく聞く食べるダイエット法の1つに「野菜、食物繊維を先に食べる」という方法があります。これは先にビタミンなどを取る事で後から摂取するタンパク質や糖の過剰摂取を抑えようという働きを利用して行われています。日本料理は1膳としてたくさんのおかずが一緒に出てくることが多いので想像しづらいですが、これは元来コース料理などよく目にする前菜、主菜の関係なのです。

薬膳料理にもこの手法が使われ、前菜で脾胃の働きを促し、治療のメインとなる主菜を受け入れる状態を作っているのです。なのでここでは前菜と主菜に使われる主な烹調について学んでいきましょう。

前菜の場合

前菜の烹調には主に肉や魚、卵など火を通して調理し終わった物を1度冷ましてから和えたり、生野菜と茹で野菜を組み合わせたものなど多彩なバリエーションがあります。

調理法は煮る茹でる和える煮凝り漬ける干すなど様々ありますが、基本的には柔らかく仕上げて消化にいい状態にしています。

前菜

『煮る』と『茹でる』で似た調理法が出ていますが、どちらも先に湯通しして中薬の煎じ汁や煮汁に入れる工程は同じです。ですが前者は下揚げや冷ました後に油を薄く塗ったりして色艶を良くしたりするのに対し、後者はそのままの状態で仕上げる形が多く見られます。

他の調理法も主役となる食薬を中心にして材料や調味料のバランスを整えて作りますが、干し物に関しては肉や魚に山椒塩を塗って吊るす方法が主流です。

主菜の場合

主菜は治癒のメインとなる食材を扱う事もあって多くの食材が存在し、それに比例して調理法も数多く存在します。それを大きく分けると4つに分類されます。

水を使う烹調

この調理法ではスープや煮物といった水分が多い料理で扱われます。煮汁と素材の味が分かり易く、柔らかく仕上げられるので薬膳料理に最も合う調理法です。

素材をそのまま煮る方法もありますが、下処理として1度炒めたり油通しをすることで中に火を通り易くしたり味を閉じ込めたりします。この方法で煮た後に水溶き片栗粉でとろみをつけさせる烹調を焼き煮込みと言います。ちなみにこの焼き煮込みは3種類あり、煮汁がなくなるまで煮る乾焼(カン・シャオ)、肉や魚がメインの時に醤油や赤色の調味料で味を付ける紅焼(ホン・シャオ)、野菜が中心で塩で味を調える白焼(パイ・シャオ)に分かれます。

油を使う烹調

火力や油、中華鍋で有名な中華料理ですが、同じ国から発展した事もあって薬膳料理でも多く扱われています。

まず『炒(チャオ)』の烹調について説明します。これは読んで字のごとく、油を熱して素材を炒める方法です。先にネギやショウガを炒めて香りを放ち、その後に油通し、またはそのままの状態で用意した素材と調味料を一緒に炒めます。チンジャオロースが有名な例です。

次に『爆(バオ)』についてです。これは基本的に『炒』と方法は同じですが、より高温で、より手早く調理する方法をこう呼びます。これは動物性タンパク質を扱う際に使われる烹調です。

他にも少量の油で表面を焼く揚げ焼きに似た調理法の『煎(ジェン)』と、揚げ物や炒め物を他の煮汁やあんに加える方法の『烹(ポウン)』があります。

蒸気・熱気を使う烹調

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水や薬汁で蒸す方法も、オーブンや窯で焼き上げる方法のどちらも栄養をそのまま取れて食材が柔らかくなっているので、薬膳料理に適しています。

塩を使う烹調

塩を用いた調理法、塩釜焼きは薬膳料理にも取り組まれています。外部に栄養を漏らさず、なおかつ塩釜の余熱で味を染み込ませる方法は素材の味を際立たせてくれます。

Lesson7確認問題

学習した部分の知識をしっかり定着させましょう!
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