前のページで養生について説明しましたが、「ならばどのような食事が体にいいのか?」と疑問に思うでしょう。なのでここのレッスンでは季節に合った料理を数点紹介しましょう。
注意していただきたいのはここで紹介した薬膳は1つの例ということです。他にも旬の食材を活かした薬膳はたくさんありますので、今後独学で薬膳を勉強する際には他のメニューの研究も大切になってきます。
多くの食材を駆使して、バランスの良い薬膳を作っていきましょう。
春カゼの特徴
春の季節は気温が暖かくなることで胃腸の働きが良くなってきますが、体全体のバランスが保てず逆に上半身を傷めやすくなります。発熱や咳、くしゃみ、のどの痛み、めまい、頭痛などといった頭部や上半身で起こる症状が見られます。
1年の始まりである春に風邪を引いてしまうと、のちにバランスを取る事も難しく、1年中風邪をぶり返してしまう可能性も出て来ます。逆に言えば、春を健康に過ごすと『養生』を行う限り風邪を引かないという事です。
この時期に注意することは頭痛やくしゃみといった特定の決まった症状がない風邪が流行ると同時に、インフルエンザのような伝染病も流行り易いという事です。軽い症状の時に前者だと勘違いして放っておくと、もし後者だった場合取り返しがつかないことが起こるかもしれません。なので引き始めだからと高をくくらず、ちゃんと療養する事を勧めます。
また冬と夏の間に位置するので春分より前の時期には辛温解表を、春分の後には辛涼解表の性質を持った食事を取った方がより効率的です。前者で有名なのがショウガで、後者は菊の花が挙げられます。では次に、それらの食材を使った薬膳茶について紹介します。
生姜紫蘇茶
この生姜を使ったお茶は春分前に飲み、汗をかくことで体を温めて肺と脾の活動を整えてくれます。
用意する材料は皮付きのショウガが3グラム、大葉1グラム、黒砂糖少々です。
②お湯を入れて5分ほど蒸らせば完成です。温かいうちに飲むことでより体を温めることが出来ます。
菊花薄荷茶
こちらは春分後に飲む辛涼解表の特性を持っています。
材料は菊花6グラム、薄荷2グラム、生甘草(なまかんぞう)3グラムになります。
②その後に菊花と薄荷も加えて煎じ、沸騰したら火を止めて蓋をしたまま5分間蒸らします。
③飲む際には茶葉を濾して飲みますが、茶葉はこの後も再利用できるので味がなくなるまで楽しむことが出来ます。
また、生甘草についてよく知らない方も多いかもしれません。生甘草自体の性質は平・甘なので、菊花や薄荷の成分を取るためなら性質と帰経の近い砂糖などで味を調える事も可能です。しかしこの場合はお茶としての効能はほぼないので、菊花と薄荷を煎じた飲み物、という形になります。