『脾』の働き
脾は脾臓、胃、腸などの消化器官全てのことを指します。つまり脾の働きによって食べた物が栄養へと変わり、全身へと送られます。消化不良や栄養不足の原因はここから始まる事が多いです。
中医学も西洋医学と同様、脾胃の働きが体の栄養に大きく関わると考えられています。ですが中医学の場合、それだけでなくもっと広い意味で把握されています。
それは『食べ物の消化と吸収』、『栄養に変換して各臓腑へと送り出す』、『筋肉や四肢にも送って動きをコントロールする』、『水の代謝(分布、吸収、再利用)を担う』、『血液の循環もコントロールする』、『栄養を摂取した物の排泄』と、これだけの意味を持っています。口は脾胃の入り口とも言われ、食欲があるかどうかなどの症状がみられる場所なので脾胃の状況を判断するのに大きな役割を持っています。
「お腹を下す」「腹を冷やす」など脾胃の調子が悪い時に使う言葉があるように、脾胃は温かい環境を好みます。つまり脾胃を癒す食材の性質は温性がよく、体の働きを促してくれる甘味もあればさらに良いです。
鶏肉粥
この料理は脾胃の気を養う効果を持っています。
材料は米80g、鶏ガラ1/2本、ネギ5㎝、薄切りショウガ3枚、大葉2枚、しょうゆ大さじ1杯、紹興酒大さじ1杯、胡椒です。
②ここで鶏ガラを取り除きますが、肉が付いている物ならその肉をそぎ落とします。
③このスープを使ってお粥を作り、取っておいた鶏肉としょうゆ、コショウを混ぜ込みます。
④最後に千切りした大葉を散らして完成です。
お粥は温かく消化に優しいので脾胃に良い効果をもたらします。さらに鶏肉の補気健脾と、大葉と胡椒の辛温の性能で消化機能を高めてくれます。
ウドと牛肉の炒め煮
この料理は上記のお粥が気を滋養するのに対し、気の巡りを促進させることによって消化機能の働きを活性化させます。
用意する材料はウド1/2本、牛肉150g、薄切りショウガ5枚、ネギ10㎝、紹興酒大さじ1杯、しょうゆ大さじ1杯、片栗粉、コショウ、塩、サラダ油になります。
②牛肉は細切りにして紹興酒、しょうゆ、片栗粉、コショウで下味をつけておきます。
③次は炒める作業に入るのですが、先に牛肉とネギを炒めて1度取り出します。
④フライパンを再び熱してウドを炒め、牛肉とネギ、ショウガも加えて炒めます。
⑤最後に塩で味を調えれば完成です。
気を巡らせて邪気を払う行気散風の効果を持ったウドと、脾胃の気を養う補脾益気の働きを持つ牛肉がこの料理の中心となります。さらにネギ、ショウガ、コショウ、紹興酒を合わせる事で消化を促進させます。