『腎』の特徴
腎は腰に位置しており、中医学において五臓の中で最も重要な臓器だと考えられています。腎の主な働きは『精』に関わっていることにあります。これは生まれた時に両親から受け取った精を腎に貯蔵しており、体の成長や健康の為に精が使われていきます。つまりこの腎が体の今後に大きくかかわるので『先天の体』とも呼ばれています。ちなみに腎は精を使うだけでなく新しく補給することも出来ます。
『腎精』から『腎陰』『腎陽』の2種類が生まれ、これが五臓六腑の陰陽の素となります。
『腎陰』は体の成長や性機能の発達、骨の丈夫さ、記憶力、聴力、老化などの作用に働き、『腎陽』は呼吸の安定や水の代謝、尿や便の生成と排泄などに使われます。
もし腎が弱くなると成長や発育が不安定になったり、記憶力の低下や生理不順、呼吸などの生理作用が崩れたりなど、体を支える基盤が崩壊してしまいます。
腎は五行説の視点から見ると水に属していて冬に活動的になります。ですが、過剰に働き過ぎてしまうので腎は冷えやすい臓器なのです。この場合『腎陰』の方に重心が傾いているので『腎陽』の働きを促すために温性や熱性、辛味、甘味などの食材を取る必要があります。だからと言って過剰摂取してしまうと逆に『腎陰』の働きが遅れてしまうので、バランスよく取り入れることが大事です。
エビとニラの炒め物
まずは腎陽を温めるための薬膳について紹介します。
用意する材料はエビ5尾、ニラ1束、クルミ20g、薄切りショウガ5枚、紹興酒小さじ2杯、塩、片栗粉、コショウ、サラダ油になります。
②熱したフライパンにサラダ油を入れてエビを炒め、取り出します。
③クルミは乾煎り、ニラは2㎝に揃えて切り、ショウガは千切りにしてそれぞれの処理を行います。
④後は材料を全て炒め、塩で味を調えれば完成です。
エビ、ニラ、クルミはそれぞれ温性と甘味を持っているので、一緒に摂取することでより腎陽を温めてくれます。またこれらの食材は腎だけでなく腸にも作用するので、効果は温腸補腎と言います。
黒豆紅花ゼリー
こちらの料理は腎陰を養う効果を持っています。
材料は茹でた黒豆150g、紅花1g、ゼラチン10gと少ない量で済みます。
②その間に黒豆と紅花を500ccの水に入れて10分間茹で、ゼラチンを入れて溶かします。なおこの時、材料の位置が偏らない様によく混ぜてください。
③よく混ざったら容器に移し、冷やして固めれば出来上がりです。
黒豆は滋陰の効果があり、冷やして食べるゼリーなので同様に腎も冷やしてくれます。
Lesson10確認問題
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