Lesson14-1 養生を心掛けた予防 季節

季節に合わせた養生

季節の分け方には一般的な四季や「春分」「夏至」などといった1年を24等分に分ける「二十四節気」と言う物もあります。ですが漢方では夏を梅雨と晩夏の2つに分けて5つの季節として考えられています。季節にはそれぞれの特徴があり、それに助長されて発達する邪気があります。これを五行説に照らし合わせたものが『五悪』と呼ばれ、『風・熱・湿・燥・寒』の5種類に分かれてそれぞれの対処法を持っています。

春の養生

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気温が暖かくなり、自然が芽吹いてくる季節の春は体も活動的になってきます。風に乗ってくる春の知らせは心も体も気分を軽くしてくれますが、邪気も風に乗ってやってきます。なので春に関わる五悪は『風邪(ふうじゃ)』となります。

春の季節は温かくなることで血の巡りが良くなり、肝の働きが高ぶり易く、胃腸の働きが弱り易い特徴が見られます。この隙をついて体に入り込むのが『風邪』なのですが、それを未然に防ぐための養生はちゃんとあります。

胃腸に優しい温かくさっぱりした料理を食し、甘味によって消化吸収を助けて脾の働きを良くします。酸味を控えて苦味を取る事で肝の高ぶりを抑えて余分な熱を取り除きます。こうすることで消化器官の働きを整え、春に見られる栄養失調から起こる口内炎や肌荒れも防いでくれます。

夏・梅雨の養生

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夏には雨が降り注ぐことで活発になる『湿邪』と気温が上昇して起こる『熱邪』の2つが見られます。上記で2つを分けて紹介しましたが、湿気が増せば気温が上がるように、気温が上がれば湿度も増えるのでこの2つは密接な関係にあります。なので基本的に行う養生はどちらもさほど変わりません。

体の中に熱や湿気が溜まりやすく、苛立ちや不快感を覚えやすくなるのでその原因を吹き飛ばす必要があります。夏野菜や苦味のある食薬で熱を取り除き、水分代謝を上げることを第一に行います。その後、水分を出し過ぎないように酸味のある物で収斂作用を引き起こしつつ、補気類で気力を蓄えて正常な体にします。このような生活を送る事で、夏の養生が行えます。

秋の養生

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秋は夏から一変して陰の気が充満していき、空気が乾燥してきます。この時の起こる邪気『燥邪』は肺に影響を与えやすく、呼吸器系を責めて来ます。乾燥を防ぐために必要となってくる要素は甘味、酸味、水分となってきて、これら全てを併せ持つ物が果物です。秋が旬の梨やブドウ、りんごといった果物に加え、カボチャやサツマイモも乾燥を和らげてくれます。

辛い物や刺激の強い物は体を痛めやすく、乾燥を助長させる可能性があるので控えたほうが良いです。夏に消耗した気力を補うために高麗人参やナツメを食べる事もお勧めします。なお、夏に比べると日没時間が早くなってくる事と冬に向けてのエネルギーを蓄える必要があるので、夜更かしは控えましょう。

冬の養生

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冬は気温が下がり物静かになるので、暮らしも心穏やかにして気力・体力を蓄える生活が望ましいです。そしてこの季節では『寒邪』が体を襲うので、熱性・辛味の物で体を温めて気血の巡りを良くする必要があります。

他にも塩味の物で腎の働きを活発にしたり、牛肉やもち米などエネルギーになり易い物を摂取して春へのエネルギーを蓄える事も重要になります。食事もなるべく熱を通したものにしましょう。