未病への養生
ハッキリした病名はないけれど、疲れや冷えなど軽く調子が悪い状態を『未病』と呼びます。この時点ではまだ発病していないので、これを機に正しい養生を行えば未然に病気を防ぐことが出来ます。
疲れが取れない場合
現代社会で生きる中、多忙や不規則な生活を送る人はたくさんいるでしょう。そうなるとハッキリした原因はわからないが何となく体がだるい、寝ても疲れが取れないなど、心や体に溜まった疲れが形を変えて危険信号を出します。
そう言った場合すぐに生活習慣を変えることは難しいでしょうが、早めに就寝したりバランスの良い食事を取ったりするなど、取り組みやすい事から始めてみましょう。
漢方の面から見ると脾と腎が不調を起こすと疲れが溜まり易くなると言われています。
脾の失調が原因の場合、食欲が湧かなかったり下痢になるなど消化器系にダメージが生まれ、栄養失調になる可能性も出て来ます。元々虚弱体質な方は腎の方に問題があり、精力が足りず気力が十分に作成できないので疲れが発生します。
睡眠や休養を取り、胃腸や腎に効果をもたらす食事を取るようにしましょう。
胃腸には大根やオクラなどの消食類を用いた温かい食事で、消化を促すことが効果的です。詳しくはLesson4-8を見ていただけるとありがたいです。
腎に有効的な食薬は精を蓄えることが出来る補益類です。中でもキャベツやカリフラワーなどは帰経が腎に当たりますのでより高い効果が見られます。こちらも同じく、Lesson4-11に記載されています。
薬膳の例はLesson10に載っているので、参考にしてみてください。
冷えの解消
現在では冷房が発達し、夏でも冷えに悩まされる人が増えてきています。冷えの症状は人それぞれですが、漢方では大きく3つに分類されます。「血行が悪くて気を十分に巡らせることが出来ない」「元々全身を温める力が弱い」「お腹が弱くて腎を冷やし易く、陽の気をうまく作成できない」など、これらの理由が挙げられます。
多く細分化される冷え性ですが、基本的には温熱性の料理を食べたり血行を良くしたり、首や腰、足首を冷まさないようにする方法が用いられます。
肌への悩み
ホルモンバランスが崩れることでよく見られるニキビやしわ、乾燥、たるみなど見た目に直接関わる事なので肌への悩みはたくさんあります。漢方でも「肌は内臓の鏡」と呼ばれるほど肌は体の状態に影響されやすく、もし肌に不調が起こった際には外だけでなく内側への対処も必要です。
こういった問題を解消するには栄養と潤いを補充し、血液の流れを良好にすることが解決の糸口となります。
つまり潤いと関連がある肺、血液を作り出す脾、血液の巡りを良くする肝へ効果をもたらす食材を取り入れることで問題が解決します。あとは適度な運動、規則正しい生活が送れれば自然と肌は回復します。
心の安定性
ストレスの解消法は早い話、十分な睡眠をとる事です。
「早寝早起き病知らず」と言われるように、22時から2時を含んだ質の良い眠りは自律神経のバランスを整えてくれます。漢方の場合、自律神経は肝と直結しており肝の調子が精神に大きく関わってきます。肝を助ける食材はホウレンソウや小松菜といった緑の濃い野菜が挙げられます。
他にも胃もたれや下痢などで気分が優れない場合もありますが、こういう時は脾胃の方に問題があるので芋やカボチャなどの黄色くて甘いいも類を取るようにしましょう。
運動養生の大切さ
規則正しい生活、バランスの取れた食生活を送る事はもちろん大切なのですが、体にまつわる問題なのでまず体を鍛えることが重要となってきます。直接内臓を鍛えることが出来ないのでそれを生活習慣や食生活に任せていますが、栄養を巡らせる体力や代謝を良くするには体機能の質が物を言います。
と言っても何もアスリート並みに鍛える必要はなく、毎日少しでも無理なく体を動かすことで十分体の調子を整えてくれるのです。まずはラジオ体操やストレッチ、散歩など簡単なものから始めてみましょう。