人間はそれぞれ特徴を持った体を保有しています。ですが先天的な特徴だけでなく、年齢、性別によって引き起こされる特徴もあります。なので今回は年齢、性別に合わせた養生について説明していきます。
年齢に合わせた養生
漢方学では女性の体調変化は7年周期に起こり、男性は8年周期で起こります。節目の年になりますと今まで平気だったことが急に出来なくなったりと、変化が訪れるのでこれを機に心と体の在り方を見直す必要があります。ちなみに中国では「男性は気から生まれ、女性は血から生まれる」という言葉があります。男性は気力体力の消耗が激しく、女性は冷えや生理不順など血が原因で引き起こされる症状が多くあるのでこのような言葉が生まれました。
子供時代、十代までの間は成長過程にあるので内臓が未発達の状態です。思春期、成長期など体にも心にも大きく影響を与える時期なだけあって、この時期に養生を行うのは大切な事になってきます。出来る事なら五臓全てにバランスよく成長を促すことが最良ですが、実際それは難しいことです。なのでまずは消化器官を養うために脾を中心的に養生を行いましょう。
4周期目、30歳前後までの青年期は一般的に全盛期を迎えています。心も体も成長して多少の無茶ならすぐに体調を元に戻すことが出来る時期です。しかしここで無茶な生活習慣を続けていると次の周期以降、痛いしっぺ返しをくらう可能性が高くなってきます。酒やたばこの解禁、慣れない仕事での深夜残業など初めての体験が続き生活習慣が変化するかもしれませんが、出来る限り自然に逆らわない生活を続けるようにしましょう。
6周期目、中年期の頃になりますと体力の衰えが実感できるようになってきます。多くの人はこの時期に家庭を持つようになり、ストレスの原因が増える場合もあります。ストレスによって症状が引き起こされる臓器は肝になるので、肝を養うようにしましょう。
8周期頃を目安に老年期へと入っていきます。この時期になりますと人生の酸いも甘いも味わっているので、多少のことで精神はブレないようになります。しかし体の機能はどんどん低下していくので、少しでも体を動かす燃料を蓄えるために腎を養う事が長寿の秘訣となってきます。次点で重要になるのは栄養を運び込む脾の働きです。
男性の養生
男性の体調変化は8年周期で訪れます。
男性の体は『気』に左右されやすいので、基本的に腎と脾を養う事が大事になってきます。脾で栄養をエネルギーに変換して腎に溜め込む一連の動きが順調に行われれば、それが健康である証拠になります。
男性は「陽」に属しており、体に熱を持ちやすいのでより効率よく燃やすために筋肉質になっています。ですが時代の流れ、環境の変化から現在では「陰」の性質を持った男性が増えたなどとも言われています。「男性だから」とこだわらず、その人に合った治療法を選定しましょう。
女性の養生
女性は7周期毎に体調変化が行われます。
女性も腎を養うのは同じですが、『血』が健康を左右してくるので肝を養う必要もあります。腎ではエネルギーを貯蔵し、肝では血を貯蔵します。この2つを養う事で血の生成、循環を問題なく活動させることが出来ます。
女性は「陰」に属しており、気血の巡りが悪くなって冷えに襲われることが多々あります。これらの未病を防ぐために腎と肝がある下半身は温めつつ、熱で頭がのぼせないように冷やす『頭寒足熱(ずかんそくねつ)』に心掛けましょう。
Lesson14確認問題
学習した部分の知識をしっかり定着させましょう!
ここからLesson14の確認問題を行なうことができます。