Lesson01 漢方と薬膳の基礎知識

漢方の成り立ち

漢方や膳のことについて学ぶ前に、まずは根底の部分から説明していきます。

漢方の歴史は古く、最も古いものだと今から約4000年前の『夏』の時代から始まったと言われています。そこから少しずつ医学が発展して行き、『漢』の時代に成立した『黄帝内経(こうていだいけい)』『神農本草経(しんのうほんぞうきょう)』『傷寒雑病論(しょうかんざつびょうろん)』の三書が漢方の基礎となって成長し続けてきた古代中医学です。基本概念は生命力、つまり自然治癒力を高めることで病にかからない体を作ることにあります。早い話、健康な体を作って予防しようという考えなのです。

三書

 

漢方がもたらす効果

効果については今まで申してきたように、体の生命力を上げて予防することが基本になります。しかし漢方のすごい所はその予防、治療する病種だけでなく性別、年齢、季節などさまざまな要素を組み込んで最適の漢方を探し当てることにあります。

中医学の古典には「上工治未病」(名医は未病を治す)という言葉があり、体から出てくる些細な違和感を察知し病気が発症する前に未然に治す最高の名医、という意味です。漢方はまさにそういった考えのもと編み出されました。

漢方と薬膳の違い

これまで漢方・薬膳と続けて表記して来ましたが、詳しく説明すると2つは全く別物なのです。

漢方は漢方薬だけではなく、鍼灸、あんま、気功、薬膳など『医学』『薬学』『養生学』の全てを含んで『漢方』という意味を成しています。

一方薬膳は漢方の理論を基にして体質や症状、体調、季節などを考慮して食材を選び、レシピを作り上げること、つまり料理をすることなのです。

薬膳にすることでの利点

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「漢方の理論に基づいて作り上げたのなら、わざわざ料理にしなくて薬のままでも良いんじゃないのか?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし『日々の生活は食事から』『薬も度が過ぎれば毒となる』などと耳にした事がある言葉のように、毎日取る食事だからこそ目をつけたのです。いくら予防するための薬とはいえ薬である以上効果は強く、毎日取り続けては体に害が及んだり薬の免疫が出来てしまう可能性もあります。

その点薬膳なら漢方薬ほど効果が強くないですが、効用を持っている食材を使って体に良い食事を作れます。さらに飽きが来ても使用する食材さえ分かっていればメニューや調理法のアレンジも可能になります。薬剤師が調合した万人受けの薬ではなく、食べてくれる人に合ったオーダーメイドの薬膳を作れることも利点の1つです。

これで一通りの基礎知識は終わりました。次はもう少し深く学習して行きましょう。

 

Lesson1確認問題

学習した部分の知識をしっかり定着させましょう!
ここからLesson1の確認問題を行なうことができます。