Lesson03-1 漢方の基本理論ー気血水

漢方のベースとなる考え

漢方は多種多様な薬物、食物が存在しますがどれも漢方のベースとなる考え、ルールにのっとって定められたものなのです。Lesson3では3つに分かれてそれぞれの考え方を学んで行きましょう。

気血水とは?

まず初めに『気血水』について学びましょう。

気血水』とは体を構成する要素、つまりこの3つが合わさることで人の体を表しているのです。

』は生命力、『(けつ)』は血液とその働き、『(すい)』は血以外の体液のことを指します。この3つの要素が支えあいバランスを保った状態を健康な状態と考えられています。逆にどれか1つでも不調が見られバランスを崩すと体から症状など何らかのサインが現れます。

なので漢方はこの不足した要素の補充やエネルギーの循環を正常にさせることで健康な体を作ろうとしているのです。

『気』について  『気虚』『気滞』

』は生命力、生きる力、生命エネルギーなどと呼ばれ、目に見えない人間の原動力として扱われ体温の調整も担っています。いわゆる元気、根気、気力などのことを指します。

そしてその『気』が不足している状態を『気虚(ききょ)』と言います。例としては疲れやすい、息切れが早い、汗をかきやすい、食欲がわかず消化が悪いなど、受け付けるエネルギーの量が低下する割りに燃費が悪くなる悪循環に陥ります。

次に『気』の循環が滞っている場合を『気滞(きたい)』と言います。こちらの例は憂鬱になりやすい、お腹にガスが張って苦しむ、締め付けられるような頭痛など、いわゆる捌け口のないストレスを抱えたことによって起こる症状が主です。

『血』について  『血虚』『瘀血』

』については読んで字のごとく、血液のことを指しています。血液の運搬によって肌や髪の毛、内臓に栄養が巡るのでもし異常が出た場合、容姿に1番影響を与えるのはこの要素です。

『血』が不足している状態を『血虚(けっきょ)』と呼び、皮膚の乾燥や貧血、爪割れ、不眠症などの症状として影響が出てきます。巡る栄養が少ないことで発生する体調不良が多く見られます。

『血』が滞っている状態ですと『瘀血(おけつ)』と呼びます。例は唇の色が青い、シミや痣が出来やすい、下半身が冷えているのに上半身がのぼせているなど行き渡る栄養の箇所が偏っていたり、逆に血渋滞を起こして十分な栄養が行かないことで起こる症状が見られます。

『水』について  『津虚』『水滞』

最後に『』についてですが、こちらは血液以外の液体、リンパ液や唾液、汗、涙、尿など体内に存在する様々な液体全てを指します。『水』によって肌や髪に潤いが生まれ、関節の動きも滑らかにしてくれます。

そんな『水』が不足している状態を『津虚(しんきょ)』と言い、口が乾いたり皮膚や舌が乾燥し、胃腸の液体も不足するので便秘の原因にもなってきます。『血虚』と症状が似ていますが作用する液体が違うので、その点を注意しておきましょう。

そして『水』が滞っている状態を『水滞(すいたい)』と言います。『津虚』とは逆に、水が局部に集中しているのでむくみや鼻づまり、軟便や下痢といった液体を多く含んだことによって起こる症状が表れます。