Lesson03-2 漢方の基本理論ー陰陽論

陰陽論とは?

陰陽論とは森羅万象、全ての事柄は『陰(いん)』と『陽(よう)』の2つに分類されるという理論になります。文字から感じ取れるように『陽』は明るく活動的、『陰』は暗く大人しいイメージで二分化していただければ大丈夫です。

『陰』と『陽』はお互いに反発しあい、依存し、付かず離れずの状態でバランスを保っています。

この考えを自然や感情などだけでなく、漢方や人の体にも適用させたものが今回学ぶ陰陽論となります。

陰陽

対になる関係性

上記で説明したように陰陽論は全ての事柄に当てはめられ、簡単に言うと対になる存在があれば『陰』と『陽』は成立するのです。

たとえば朝と夜、夏と冬、表と裏など、並べていけばきりがありません。

このように何かがあればその対となる存在もいるのです。このようにお互いが支えあってバランスを保つことを陰平陽秘(いんへいようひ)そしてお互いが対に依存しあうことを相互依存と言います。

絶えず変化する『消長』

上記のものは事柄としてあげたことによる対比であって、実際には体調や季節は絶えず変化して行きます。たとえば1年を通して見てみると過ごしやすい春や秋はバランスが取れている状態と言えます。ですが暑い夏や寒い冬は明らかに片方の成分が主張しすぎていると思いませんか?

日の光や感情に明るい時と暗い時の波があるように『陽』へと傾いている時、『陰』へと傾いている時がどんなものにもあります。このように一方が主張するともう一方が衰える、その逆も行ってバランスを取る関係を『消長(しょうちょう)』と言います。

「人生楽ありゃ、苦もあるさ」なんて言葉も、言われてみれば陰陽論を照らし合わせた縮図のような言葉だと感じませんか?

消長

突如変化する『転化』

では仮に『消長』を行わずずっと『陽』の成分を取り続けたり、逆に『陰』の成分を取り続けた場合どうなると思いますか? 答えは簡単です。バランスを崩して本来の意味を保てなくなるのです。

たとえば暑いから涼しくなるようにカキ氷を食べたとします。『暑い』の対になる『冷たい』でバランスをとって快適に過ごせるでしょうが、もし度を越してカキ氷を食べたらどうなるでしょうか? 体は冷え、胃腸の体温も低下したことで消化器系の機能が低下。さらには体が冷えたことで血管が細くなり十分な血が巡らず、ますます体温が下がって命に危険が訪れます。

さすがにこれは大げさな例ですし、普通なら十分に涼しんだところで食べるのをやめるでしょう。ですが『薬は体に良いから』『炭水化物を減らしてダイエット』などプラスのイメージを持って取り続けることは極めて危険です。

たしかに量を見極めて実践すること自体はかまいません。ですが毎日大量の薬を飲めばそれも毒へと変わり、早い結果を求めて食事を断って必要最低限の栄養も取らず栄養失調になる例も存在します。

このようにある一定のラインを超えると意味が逆転してしまうことを陰陽論では『転化(てんか)』と言います。