Lesson03-3 漢方の基本理論ー五行説

五行説とは?

五行説とは「」「」「」「」「」の5つの要素を基にお互いが助け合い、抑制しあうことでバランスを取っている自然観の1つです。中医学ではこの関係性を自然だけでなく、診断や治療、人の体や内臓、精神活動、さらに季節や気候、地理が体に及ぼす影響などにも当てはめて考えています。

それぞれの特徴

5つの要素にはそれぞれの意味を持っています。

」 枝を伸ばし、葉を広げながら成長する様子から上へ外へと広がっていくイメージを連想させ、「成長発展、のびやか、円滑」という意味を持っています。

」 熱や光を発しながら空へと昇っていく炎に、空気を上げさせたり流れを引き起こすイメージを持たれて「炎上、発熱」の特性を持ちます。

」 どのような形にも変化し、作物など文字通り大地の恵みを与えてくれるイメージから「養育、受納、変化」の特性を持ちます。

」 金属の硬さや冷たさから、他を寄せ付けない清廉潔白なイメージが生まれて「清涼、清潔」の特性を持ちます。

」 重力や地形に従って下へと流れ、物を濡らして潤す働きと、何より火を消すイメージから「寒温、下行、滋潤」の特性を持ちます。

このようにそれぞれの要素が特性を持っており、お互いの特性を利用して2種のバランスを取っています。

1つは 「木」⇒「火」⇒「土」⇒「金」⇒「水」⇒「木」 の順番で相手を生み助けて促進する『相生(そうせい)』の関係、もう1つは 「木」⇒「土」⇒「水」⇒「火」⇒「金」⇒「木」 の順番で相手を抑制してコントロールする『相克(そうこく)』の関係があります。

五行説

他にも相手を抑制しすぎたり元々抑制する相手が弱っていた時に影響を与えすぎたことで起こる『相乗(そうじょう)』や、逆に抑制する側が弱っていたり、される側が強かったりすると反対の作用をもたらす『相侮(そうぶ)』といったような効果も見られます。

五行色体表

上記で説明してきた五行説をあらゆる観点から考察し、心や体、自然などを幅広く分類したものを『五行色体表』と言います。

五臓表

ちなみに五季の『土用』は季節の変わり目のことを指しています。鹹(かん)は現代の言葉で言うと塩味に当たります。

中医学ではよく耳にする五臓についてですが、これは人の内臓を五行色体表に当てはめた時に呼ばれる呼称です。

「肝(肝臓など血を蓄える機能)」は憂鬱な状態を嫌い伸びやかに過ごすことを好むので「木」に属し、「心」は温かく熱を発しているので「火」に属し、「脾(胃や腸などの消化器官)」は摂取した食べ物を栄養へと変化させて体の成長を促すので「土」に属し、「肺」は潔癖症できれいな空気を好むことから「金」に属し、「腎(じん臓が中心)」は体中の水分をコントロールする上に尿の排泄を行ったりすることから「水」に属されます。

Lesson3確認問題

学習した部分の知識をしっかり定着させましょう!
ここからLesson3の確認問題を行なうことができます。