Lesson04-4 漢方の種類 祛湿類

祛湿類とは?

祛湿類(きょしつるい)とは体の代謝を正常にし、体内の余分な水分を取り除く食薬のことを言います。異常な代謝によって五臓に水が溜まると症状が見られますが、これは各々の場所で現れる症状が変化します。

脾、胃、腸などの消化器系に溜まると食欲不振や胃もたれ、嘔吐、下痢などの症状が現れます。皮膚に溜まれば体がむくみ、関節や筋肉に溜まれば痛みや腫れ、ひどくなると歩行困難などの症状が現れる可能性も出てきます。

中医学では水が溜まる状態を2つに分けています。頭痛や体の重み、吐き気など症状が目に見えない状態の時を『湿』、むくみや下痢などの目に見える症状まで溜まった状態を『』と呼んでいます。

祛風湿類(きょふうしつるい)

祛風湿類は筋肉や神経、骨に侵入する湿邪気を払って、体調を改善させる食薬のことを言います。また祛風湿類の中でも2種類に分かれ、『辛味・苦味・温性』の特性を持つ食薬は『風・寒・湿邪気』の性質を持つ邪気に使われ、『苦味・涼性・平性』の特性を持つ物は『風・暑・燥邪気』の邪気に使用されます。

分かりやすく言うと前者は悪い部分を暖めて、後者は熱を冷まして邪気を払うイメージです。

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さくらんぼパパイヤもこの種類に入り、意外にもも漢方としてこの種類に分類されます。なお、酒と言っても米や麦、トウモロコシなどの穀類から作られたものを指します。

芳香化湿類(ほうこうかしつるい)

香りを用いて湿を取り除き、食欲を増幅させて脾の働きを促進させる食薬を芳香化湿類と言います。脾臓は水や酒が溜まると消化機能が低下しますので、このことから中医学では「脾は燥を好み、湿を嫌う」と言われています。

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シソ科やショウガ科の食材が多い中、藤袴の花も漢方として存在します。ですがこれらの食材は揮発性が強いので煎じる場合は他の食材より後に煎じるか、煎じる時間を短くするなどの工夫が必要となってきます。

利水滲湿類(りすいしんしつるい)

利尿作用を利用し、体内の余分な水分を外へ出す食薬を利水滲湿類と言います。むくみやめまい、皮膚炎、排尿痛などの症状で用いられますが、利尿作用による津液の消耗はどうしても避けられないので遺精や遺尿などの症状には慎重に扱いましょう。

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日本に昔から馴染みのあるナズナ小豆、大豆はこの分類に属し、フナハモ、白魚、フグなど水中の食材もここに入ります。ここで少し注意していただきたいのは大豆です。私たち日本人の生活の中で大豆は様々な加工品となって出回っていますが、豆腐や湯葉は清熱瀉火類に属しますので注意してください。