温裏類とは?
中医学において体表や神経を『表』と表し、臓腑や血脈、骨を『裏』と称します。そのため臓腑を温め、冷えの症状を抑えて改善させる食材を温裏類(おんりるい)と呼びます。具体的にどのような症状が当たるかと言いますと、体を温める機能が低下したことで引き起こされる冷えや痛み、生理痛、下痢などが該当します。
またこの種類に属する食材の多くは香辛料になりますので、胃腸の弱い方や体の調子が変化しやすいお年寄り、妊婦、子供の方は使用量に注意してください。
それでは日本でもよく目にする食材の紹介をしたいと思います。
まずは夏野菜の1つでもあるピーマンから紹介していきます。脾胃の冷えによる痛みや嘔吐下痢、消化不良を療養してくれる上に、ガンや動脈硬化、肥満、高血圧などの予防効果まで備わった優れた食材です。中には苦味やにおいが苦手という方もいらっしゃると思いますが、オランダ語でピーマンを意味するパプリカでも代用が可能なので、そちらで試してみるのもいいかもしれません。
ニラもこの種類の1つです。お粥や汁物、炒め物などの材料に使われている食材ですが、げっぷや嘔吐、吐血、鼻血、疲労などに作用する様々な働きを持っています。しかし効果が強い反面、その強さに耐え切れない胃が弱い人や子供には危険です。さらにどの料理法にも使いやすい点から多用する方もいるかもしれませんが、ほうれん草、ハチミツ、牛肉と一緒に用いることは食べ合わせの問題から禁忌となっています。
とうがらしやコショウも温裏類に入ります。どちらも香辛料の代表的な例ですし、どの国でもよく使われる食材だと思います。ですがどちらも刺激が強く、粘膜を破壊したり栄養素同士が衝突して悪影響を引き起こしてしまう可能性もあるので量には気をつけて使用してください。
逆に甘い黒砂糖もこの種類に属します。冷えや食欲不振だけでなく、産後の腹痛や生理痛、生理不順などを癒してくれる女性の体に合った食材です。しかし食べ過ぎると下痢になってしまう可能性もあるので、気をつけてください。
魚介類の中からはアジやマスが有名所なので、この2匹について紹介します。
どちらも胃の冷えや痛み、食欲不振を治す効果を持っており、多くの栄養成分を有しています。マスは川魚なので生でいただくことは出来ませんが、アジの刺身に加え焼き物、煮物、フライなど多くの調理法でいただくことが出来ます。ですが中にはアレルギーの方もいらっしゃると思いますので、そういう方は多食を控えてください。
ちなみに、スーパーなどでアジの刺身やたたきに付いてくるショウガやシソ、ネギなどは一緒に食べることで中毒予防になるので、醤油に入れるなり和えるなり、お好みの方法で一緒に食べることをお勧めします。