Lesson04-6 漢方の種類 理気類

理気類とは?

体内で起こる気の運動を『気機(きき)』と言います。その気機の巡りを良くし、臓腑の動きを調節する働きを持った食薬を理気類(りきるい)と呼びます。

正常に巡ることで健康が保たれる気機がストレスなどで不調になった時、臓腑に悪影響を及ぼして症状が現れます。便や生理など出るものが出ない時の状態を気滞症状、喘息や嘔吐など逆流する事態が訪れた時を気逆症状と呼びます。

理気類の食薬は辛・温・芳香の性質を持つ物が多く、ストレスと共に臓腑で溜まった鬱を解消させて元の状態に戻すのが主な働きです。

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理気類の代表的な例の1つが玉ねぎです。生で食す物から火を通した物まで調理の幅が広く、脾胃の気機を整えて食欲不振や下痢、げっぷ、吐き気などの治療に用いられます。さらに生で食べるとネギと似た働きをするので風邪の予防にもなります。胃火によって体調を崩されている方は津液を消耗してしまいますので食べるのは危険ですが、他にも解毒や殺菌、利尿、高血圧予防など体の働きを整えてくれる優れた食材です。

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それと日本人に馴染みの深い蕎麦もここに属します。正確に言うと「蕎麦の実」として記されているので、調理法は蕎麦意外にもそばがき、クレープ、お好み焼き、お茶など様々な方法で摂取することが出来ます。

他にもラッキョウえんどう豆などよく聞く名前も入っています。

数多く所属している理気類ですが、似ているようで違うものとして表記されている食材もあります。

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それはオレンジみかんです。どちらも同じ呼び方で通じてしまいますが、前者はインドやアメリカ、ブラジルなどが原産地で、後者は日本や中国が原産地として記されています。しかし違うのは原産地だけでなく、体に及ぼす働きも変わってきます。

まずはオレンジから説明して行きます。嘔吐や食欲不振、口の渇き、発熱、空咳、痰などを防いでくれる働きを持ち、虚寒下痢や糖尿病の方が口にするのは危険です。

続いてみかんについてですが、基本的にオレンジと働きはほとんど変わりません。ですがこちらは咳、多く出る痰、下痢を防いでくれます。注意する点は熱を持った人、のぼせている人には摂取を控えることです。

つまりオレンジは体を冷やす『涼』の性質を持っており、みかんは体を温める『温』の性質を持っていることになり、そこが2つの大きな違いです。

他にも柚子金柑といったミカン科の果物も理気類に属します。なお金柑に関しては砂糖漬けにしたものが子供の風邪に効くといわれており、体の弱い方でも安心して扱える食材です。