理血類とは?
理血類(りけつるい)とは血に関係してくる病気を治療するために用いられる食薬のことを言います。理血類の説明をする前に、5つの血の病気、『血虚証(けっきょしょう)』『血寒証(けっかんしょう)』『血熱証(けつねつしょう)』『血瘀証(けつおしょう)』『出血証(しゅっけつしょう)』について学びましょう。
まず血虚証は血の営養作用の低下、つまり必要な分の栄養補給が不足していることで起こる症状のことを言います。次に血寒証についてですが、これは新陳代謝が下がったことと連動して体温も下がり、体が冷える事で起こる症状です。血熱証はその逆で、気分の高揚や風邪によって引き起こされた体の熱が原因で生まれる症状になります。血瘀証は血の巡りが悪くなることで起こる症状、出血証は熱による出血が原因で起こった病状のことを指します。
これら血の病気には理血類を使用しますが、前のページで説明した温裏類は血寒証、清熱類と瀉下類は血熱証にも効果を見せます。
止血類(しけつるい)
体の中、外関係なく出血の症状を改善する食薬を止血類と言います。熱や寒さで弱まった血管からの出血や虚弱体質ゆえの出血、瘀血によって巡りが悪くなり血が集中して血管が破裂するなど、多岐にわたる出血症状で用いられます。
この種類で有名なのはナスです。ナスは体を冷やして止血する働きを持っているので、元々冷え性の方は気をつけて食べてください。余談ではありますが『秋茄子は嫁に食わすな』という言葉、単に「奥さんにさえも渡したくないほど秋茄子はおいしい」という意味だけではありません。元々あくが強いナスですが旬を迎えた秋茄子はさらにあくが強く、妊婦の方には毒になる可能性が高いことからこの言葉が広まりました。ですのでもし食べる場合はしっかりとあく抜きすることを勧めます。
他にも黒キクラゲやオカラ、ヨモギなどもこの種類に入ってきます。
活血化瘀類(かっけつかおるい)
血の流れを活性化し、瘀血を解消する食薬のことを活血化瘀類と言います。この名前を省略したものを『活血類(かっけつるい)』と呼び、作用が強い物を『破血類(はけつるい)』とも呼びます。血の巡りが良くなれば関節痛や痺れむくみの改善にもなります。
この種類に属している上で扱いやすい食材はチンゲン菜です。こもった熱を冷ますことで瘀血を解消する他に、乳腺の腫れや熱、赤みをも治療してくれます。それと火が通りやすい食材なので、パッと炒めて栄養と食感を残す調理法がお勧めです。
また、調味料の1種でもある酢もこの種類に入るのですが、チンゲン菜と違って体を温めることで血の巡りを良くして瘀血の解消を行います。
なので涼の性質を持つチンゲン菜、温の性質を持つ酢の両方を同じ料理に使用してはいけません。もし行ってしまった場合、両方がお互いの特性を潰しあい瘀血を解消する効果を打ち消してしまうからです。