Lesson04-12 漢方の種類 収渋類

収渋類とは

体は老化していくと引き締める力が弱くなっていきます。つまり夜尿や頻尿などといった引き締める力が衰えたことで起こる症状が現れてくるのです。他にも咳や多汗、動悸、出血など、これらは出口を引き締めることで症状を抑えるのですがそれも思うように行かず、治るのに時間がかかってしまいます。

そういった状態を滑脱不禁(かつだつぶきん)と呼び、それを改善するための作用、収斂固渋(しゅうれんこじゅう)を持っている食薬を収渋類(しゅうじゅうるい)と言います。

また、まだ腎臓が発達しきれていない子供にも利用されることがあります。なのでただの治療だけでなく、根本治療としても効果があります。

代表的な例の1つにレモンがあります。

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ジュースや和え物、菓子などさわやかな酸味と甘味で多くの料理に使われるレモンですが、その中でも収渋類として知れ渡っている調理法があります。それは「レモンの蜂蜜漬け」です。

スポーツなどで1度は目にした事がある食べ方ですが、漢方の面から見てちゃんと理に適った物なのです。まずは前のページで説明した補気類にあたる蜂蜜は汗として流れていった津液の補充を作成するための気を蓄えてくれます。さらにレモンに含まれるクエン酸は疲労回復の効果を持ち、収渋類の働きで多汗を抑えてくれます。この2つの組み合わせによって過度な発汗は抑えられ、運動によって減少した気力や津液の補充が可能となるのです。胃酸過多な人には禁忌とされていますが、それさえ気をつければ多くの症状を改善してくれる優れた食材です。

沖縄県が産地として有名なスターフルーツもこの種類に属します。

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フルーツらしく生のままやジャムにして食べるだけでなく、塩漬けや酢漬けといった方法でも調理されます。収渋類として下痢を改善してくれる働きを持つと同時に、口の渇きを潤してくれたり利尿作用をもたらしてくれたりと、固まった出口の筋肉を活動的にしてくれる面白い働きも持っています。しかしこの果物は性質が未だにはっきりとしておらず、いくつもの説が乱立しています。現在有力なのは味が「温、甘、酸」の性質を持っており、胃を中心に作用するという説です。

少し変わった食材を挙げますと烏賊骨、つまりイカの甲骨が出てきます。

普通なら調理段階で除いてしまう部分ではありますが、煎服すればちゃんと漢方として食薬の役目を果たします。収渋類らしく出血の量や胃酸の量を抑えてくれて月経過多や血便、痔の出血、胃炎などの症状を和らげてくれるだけでなく、湿疹や遺精の改善にも貢献してくれます。

国内での生産がほぼないので少し馴染みがないかもしれませんが、ザクロナツメグハスノミもこの種類に属します。