補益類とは?
中医学では気・血・津液(しんえき)・精の4つが体を構成する基本的な物質と考えられています。これらの要素が不足した場合に現れる症候群を『虚証(きょしょう)』と呼び、さらに『気虚証』『陽虚証』『血虚証』『陰虚証』の4つに分類されます。
体中を巡る気・血・陽・陰の不足している要素を補って体を内側から鍛え上げ、疾病の抵抗能力を上げることで虚証の治療を行う食薬を補益類(ほえきるい)と言います。4つに分類された虚証と同様、補益類も4つの種類に分けられます。
補気類(ほきるい)
「気を補う」という字から連想されるように、補気類は臓腑機能を向上させて気虚証を治療する食薬です。
気虚証とは気が低下したことで現れる症候群のことを言い、肺、脾、心、腎に影響を与えます。『肺気虚』なら喘息や慢性の咳、『脾気虚』なら食欲減少や下痢、『心気虚』なら動悸や汗、『腎気虚』ならむくみや頻尿感など、それぞれの箇所で各々の症状がもたらされます。
また、補気類を過剰摂取してしまうと補気を通り越して気滞状態になってしまう可能性もあります。なので気を巡らせる効果、行気(こうき)の効能を持った食材と一緒に食べるなどの工夫が必要です。
例えばLesson4-6で説明した理気類の食薬に当たる玉ねぎやえんどう豆、柑橘類が該当します。
この種類にはハチミツやインゲン豆、干しシイタケ、栗、キャベツ、カリフラワー、ジャガイモ、かぼちゃ、サツマイモ、もち米、イワシ、カツオ、サバ、うなぎ、牛肉、ハム、鶏肉、桃と普段私たちがよく目にする食材が大量に入ってきます。いつもの食卓に並びやすいという利点と共に、上記で説明した気滞になる可能性もあるので献立には少々気を使っていただくと幸いです。
助陽類(じょようるい)
陽虚証は上記で説明した気虚証がさらに悪化した状態のことを指します。そして陽虚証は脾、腎、心の3つに影響を与え、『脾陽虚』は冷え性やむくみ、『腎陽虚』は足腰の冷えや頻尿感、『心陽虚』は動悸や冷や汗の症状が見られます。
そんな陽虚証を改善する働きを持っているのが助陽類です。
助陽類も種類が豊富でクルミや海老、ナマコ、羊、鹿、熊、すずめなどが挙げられ、漢方などで有名な冬虫夏草もこの助陽類に分類されます。
養血類(ようけつるい)
「血を養う」と書かれている通り、血が不足することで引き起こされる『血虚証』を改善する働きを持っている食薬を養血類と言います。
前のページに記載されている安神類で説明したように、血は心と肝に大きく関わってきます。なので血虚証が現れると心と肝に被害が訪れます。『心血虚』は顔色の蒼白やめまい、心悸などの症状が見られ、『肝血虚』では爪色の蒼白や不安、痒みなどが見られます。またどちらも精神の安定には必要な臓器なので、不眠や多夢といったストレスなどがもたらす症状も現れます。
養血を主とする食薬は胃を傷めやすいので、胃の気を活性化させて消化を良くする食薬と一緒に服用することを勧めます。それと古い血を養うだけでなく、新しい血を作る必要もあるので補気類の食薬も一緒に取れば効率が上がります。
この種類の例は人参やほうれん草、落花生、ブドウ、ライチ、豚のレバーや心臓、豚足、イカ、タコなどが挙げられます。
滋陰類(じいんるい)
全身の水分である津液と血の2つを合わせて陰液(いんえき)と呼びます。血の不足で見られる血虚証がさらに悪化し、嘔吐や発汗、下痢などで陰液が不足することで陰虚証へと陥ります。そして陰虚証を改善するための食薬を滋陰類と言います。
滋陰類は津液で臓腑を潤すと同時に血も補い、不足した陰液を増やすことで陰虚証を治療します。また、滋補によって胃を傷めやすいので、養血類と同じように胃の働きを良くしてくれる食薬を同時に取りましょう。
陰虚証の適応症は『肺陰虚』の空咳や胸痛、『胃陰虚』の胃痛や食欲不振、『肝陰虚』のイラつきやめまい、『腎陰虚』の耳鳴りや足腰のだるさなど、様々な症状となって現れてきます。
例となる食材は小松菜やアスパラガス、ゴマ、卵、豚肉、イノシシ、馬肉、牛乳、チーズ、すっぽん、アワビ、牡蠣、ムール貝、ホタテ、百合とたくさんあります。
その中でもイチゴは使用上特に気をつける点はなく、スーパーで1年を通して手に入りやすい上に乾物やジャムなどにすれば保存が利きやすい、お勧めの食材です。